05/22/2007    熱意考−1
疲れた。ほんと疲れた。

で、ふと「熱意」という言葉について考えた。

89年頃だから、たぶん22歳だった。
初めて台本書いて演出らしきことをさせてもらうことになった
のが、ナンバグランド花月のスタジオで、とあるお笑いの
ライブだった。芸人さんの名は伏せるが。

で、やることが決まって、プロデューサーさんが言った。
「チラシに書く名前、本名でええんか」。
”作・演出/菱田信也”ってクレジットを載せるということ
だったわけだが、そりゃ舞い上がったねー。
「え!え?名前、載せてもらえるんですか!」って。

今みたいに、誰でもパソコンひとつで簡単にチラシ作れる時代
じゃないのさ。だって、バブルの時代だぞ。まだまだそんな
気安い時代じゃないんだから。携帯電話だって、山田太郎の弁当箱
くらいの大きさだったんだから。しかも、国税局特別査察官くらい
しか持ってなかったんだから(映画『マルサの女』を見よ)。
自分の名前が公の活字になるってことがどれだけテンション
上がることだったか、君ら、まるっきし想像つかないだろ?

「当たり前だよ、おまえ書き手なんだから」。
プロデューサーは言ったね。痺れたね。22のクソガキにさ。
天下の吉本興業(今、いろいろ大変だけどさあ〜)の、京大出の
エリートPさんは、かる〜くノタマッタわけだよ。
書き手扱いされたんだよ、バカったれの洟垂れガキが。
それで「熱意」を爆発させないわけ、ないじゃん?

たった1晩こっきりのお笑いイベントだったけどさ。
とにかく燃えてたね、ワシ。熱意というか、もう、燃意だよ
(んな言葉ないけどさ)。2日や3日寝なくても必死でコント
書いてさ。はしたなくも、出演する芸人と意見対立して
一晩中怒鳴りあったりさ。
もう、なんちゅうの。熱意ある青年、だったな、ワシ。うんうん。

今日は6月の『くれない三度笠』の顔合わせ。即座に稽古入り、
6月1日から一月間、新歌舞伎座で、本番。

キャスト&スタッフ、錚々たるお歴々の前に出て、
「脚本の菱田信也さんです」ってご紹介いただいたよ。
やー、どうも。
本はもう上がってるし、あとは演出家・スタッフ、とにかく
プロ中のプロが揃ってるんだから、もう全面的にお任せし、
そりゃもうキャストだって一線どころばっかりだし、
もう脚本家は、やること一切ないわけでね。
で、まあ、一番の若造なんだけど、やっぱり「作家さん」
扱いしていただけますわね。
なのにさあー。

・・・チラシに名前が載るってだけでエンジンかかって、
3日3晩、徹夜で曲選びしてた、あんなバカ、もう身体のどこ
探してもいないんだよ。
いろんな話や企画も持ち込まれてて、けっこう先まで予定
詰まってて、新歌舞伎座なんて、そんな仕事できるようになるとか、
夢にも思ってなかったのによ。

なんかくっそえらそーにさ。ただ椅子に座って、スーツ着て、
本書きツラして、製本台本、眺めてるだけで、
なにえらそーにしてやんだって自分にムカついてさ。
もう、逃げたくて帰りたくて仕方なくて。
「熱意」っすかあ?・・・なんせ疲れて、疲れて・・・。
身体、しんどくて・・・。

最近よく言われるんだが。「稼いでるでしょう」って。
そう見えるわけ?んなわけないじゃん。
あと、オレのギャラが高いって、どこの誰が吹きまくった?
おかげで小商いが来てくれないじゃないか。
「めっちゃくちゃ忙しいじゃないですか」。ああ、確かにね。
追われまくってるよ、締め切りに。
8月の芝居なんか、締め切り、もう、2週間も過ぎてるよ。
だけど、だからって、そんないきなり稼げるわけないじゃん。
ギャラ様が手元においでになるまで、這いつくばってでも、
食い繋がなきゃいかんのだよ。

ほんと、もうこういうのは書くのよそうと思ってたんだけど。
でも、話すと、結構みんな笑ってくれるから書いちゃうけどね。

実はさ。
昨日なんかな、日銭稼ぎにいったのが、ナンバにある某百貨店で。
夜中の4時まで、売り場の掃除してきたわけな。
安〜〜〜〜〜〜い日当、欲しさに。格差社会、体現!!
でな。その百貨店のはす向かいに、新歌舞伎座があるわけよ。
フロアでさんざんモップがけやらされて、夜中の2時に表に出て、
ニヒルにもタバコに火つけたらな、新歌舞伎座の正面に
『6月・天童よしみ特別公演』って、でっかいノボリが立ってる
わけさ。
ハハハハハ。笑ったよ。ミナミのど真ん中で。
おーい。オレ、それ書いたんだよ〜ん、って。
真夜中の百貨店の真っ暗なフロアの床掃除やってるオレ、
あれ書いた作家さんだよ〜〜んって、笑えて仕方なかったさ。
で、朝方、仕事が終わってさ。そのほんの10時間後に、
座長の天童よしみさんの前で「脚本家の菱田さんです」だって。

ハハハハハ。

その前の日は、タンカーに荷物運ぶのに、堺の沖で小船に
揺られてゲロッてな。クラゲがプカプカ昼寝してたよ。
その前の前の日は、神戸の山奥のマンションの建築現場で
一日中、くおらあ!!とか言いながらコンクリこねてたさ。
で、一休みに、休憩所のテレビ見たら「暖流」やってんの。
「あ。ハハハハハ。6月、オンエアだ〜」ってさ。
でもその脚本家、頭にタオル巻いてコンクリまみれ。
どっから見ても立派な鬼瓦権造よ。くー。かっくいー。

疲れてさ。
もう体中ガタガタでさ。だって、間違いなく41なんだもん。
22の、あの時のガッツ溢れるピュアボデェじゃないんだよ。
そんな、熱意もへったくれもあるかって。

あの時、熱意満タンで、そこから18年間、やりたいだけやってさ。
で、そのおかげで21年後に裁判所の世話になっちゃった。
蒔いた種であっちゃこっちゃに迷惑かけてよ、作家ツラして
熱意がどうとか、そんな若いこと言うてられん。
一日働いて7000円!!!コンクリまみれて!!
だってとにかく、も少しの間、生き延びなきゃいかんのだから。

8月12日、大阪野音。
『踊るシジフォス!1615』!!
書くぞ書くぞ書くぞ〜〜。
解脱するぞ解脱するぞ解脱するぞ〜〜〜。
修行するぞ修行するぞ修行するぞ〜〜〜〜〜〜〜。

で、書いたら、久しぶりに、演出すんぞ。
だって、もう半年近く、しっかりと芝居作りに向き合ってないぞ。
うん。だって工事現場で「ヨイトマケの唄」歌うのが
忙しかったもん。
今だって寝ずのまんまだよ。でも書くよ。お待たせしてて
ごめんねジロー。

けど稽古に突入したら、2ヶ月ほど日雇い、行けんぞ。
どうすんだ?
どうにもなんねえ。
けど、ま、なんとかなんだろ。
だってキャスト・スタッフ合わせたら100人近いぞ。
客席だって3000人、相手だぞ。
隙見せたら、そこで終わるな。たぶん。
オレがそこで終わるかどうか、自分でよくわかるだろな。
適当なつもりのやつ、全部潰したる。待っとけっ。
この舞台仕上げなきゃな、「芝居」が「世間」に負けんだよっ。

あ。もしかしたら。
この夏は、自分の中にまだ「熱意」ってもんが
残ってんのかどうか確かめる夏になるかもな。
で、もしも「ない」ってわかったら、そのときは腹くくって、
「小銭稼ぐためだけに物を書く人」になる努力を始めます。

*『踊るシジフォス!1615』に関しての情報は
アシスタント・村上泰児の『制作日記ブログ』に全部任せます。
そういうことで、ひとつよろしく。




05/22/2007    漂流考‐1
20070522161434
本日顔合わせ、稽古入り。未知の世界に紛れ込んだ漂流者の気分。
05/19/2007    不動考−1
動かない日々。
川は流れてないと腐る。
自分の足元から腐ってくみたいで、ホントに辛い。
だけど、もうちょっとでまたドドッと動き出すはずだと
信じながら、とりあえずじっとしておく。
こんなことの繰り返しが、選んだ仕事の中身のほとんど全部。
仕方ない。イライラすっけど。

05/09/2007    症状考−1
持病の腰が爆発し、痛みが背中一面にまで拡がっています。
一度横になると、立ち上がるのには支えが必要で、
かなり時間がかかります。もちろん、激痛に耐えながらです。
這いずるように床を移動せねばなりません。

足の筋肉が張り、歩くと痺れ、引きずるような感じになります。
杖なしでは長距離は歩けないほどです。

腕は左右ともに握力が落ち、右ひじはほとんど
曲がりません。両手首とも、固まって反らすことができません。

視力もかなり激しく落ちたようなので
思考力が働きません。心なしか記憶力も弱まったようで、
時々、自分の、次になすべき行動がわからなくなり、
日常生活の中で空白の時間が頻繁に起こります。
人の顔や名前をほとんど覚えられません。
たまに呼びかけられても、それは自分のことだと
気付かないことがあります。

下痢は相変わらず続いており、朝、洗面所で血を吐く回数が
増えました。リンゴを齧ると大流血です。

一度眠ると、目覚めることが困難になりました。
短気になり、やたらと癇癪を起こしてしまいます。
前にいつ飯を食ったか、記憶が曖昧です。
気分はダークブルーで、ふと具体的な自殺の方法を
検討している自分に気付き、愕然となります。
1歩家の外に出たら極度の不安感に襲われ、
すぐにまた閉じこもってしまいます。そして、もう
外には出たくありません。

カレーを日に三食食べてもまったく飽きません。

なにぶんこのような状態ですので原稿仕上がり、遅れます。
不可抗力だ、と思います。
05/06/2007    改名考−1
毎日新聞大阪社会部の仲良し記者・花岡氏と福島でキーマカレー
食いながら話してたら、
「そういや、菱田さんの出た英知大学って改名しますね」
と言われた。
「え?なんて変わるんですかね」
「いや、名称覚えてないんですけど、なんか横文字だった
ですよ」。

改名の理由は単純で、英知大学ってのは昔から「H大学、
H大学」ってからかわれて(ああ、実際、オレが通ってた頃も
よく言われたよ)在校生も肩身が狭く、しかもネットで検索したら
エロ本出してる「英知出版」と間違われるので、受験しようとする
学生に悪影響及ぼすからだという。

でだ。
どういう名前になんのか結局わからず、もう忘れてたんだが。
さっきな。
たまたま知ったわけだ。改名後の正式名称を。

聞く?・・・・聞いちゃう?

・・・・「聖トマス大学」。

ぎゃああ!!!!!!!!!
きゃー!!!!!!
うおおおおおおおお!!!!!!
・・・・・。15分、失神しました・・・。

・・・・やっちゃいかんことやったな・・・。
やってもたな、おたくら!!!!!!!
あかんがな。・・・そらあ、あかんがな・・・・!!
聖か!!!!!聖と書いてまさかセントと読ませるんか!!!?
本気と書いてマジ、か!?
・・・いや、もしや、『ひじりトマス』!!?
『ひじりと、マス』?!
なんかのお料理名!!!???それってば、京懐石!!?
あるいはストレートに『せいトマス??!!!』
『せいと、マス』!!!?性と・・・マス!!!!?
聞きようによっちゃ、「H大学」よりえっち臭せえぞ!!
『聖トマス大学』って・・・。
なんかF4とかいてそうな学園名じゃん!!!!!????
道明寺とかって名前の学生、いそうじゃん・・・・。
叫ばせてくれ!!!

ふわああ〜〜〜〜〜〜!!!!!!
ひえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
ぴゅううううう〜〜〜〜〜〜〜〜。

ただでさえ今、ウツ気味で・・・・。
体調悪くて機嫌悪いのに・・・・・。

なに?じゃあ、あなた、なんですか。ええ、なんなんですか。
あなた、今後、この、この私にですよ、出身校は
「セーント・トーマスでえーす!!」って高めの鼻声で
言えってか?
機関車か、わしは。
使いたくないツッコミ使うけど、欧米か。
それともディランみたいに目つぶって言えってか?!
「カリフォルニア大学日本校」より傷は深いぞ。
もお・・。・・・・堪忍してくれ・・・。

・・・・ま、いいけどよ。
この大学、ほんと、卒業してから一切付き合いないしな。

えー。発表します。
今後、菱田のプロフィールはすべて
「私立滝川高校卒」で通します。
通させてください!!!!
こんな大学名名乗らなきゃいかんなら、
わしゃ高卒でええっちゅうの。
口裂けても言えんわ、「聖トマス」だけはよ。

なんでコビ売るかな、アホの学生によ・・・・。
もう、今の日本の大学生なんかアホしかおらんのによ・・。
H大学でいいじゃんよ、なんか楽しそうじゃんか・・・。
でよ、別にここの大学出たって、実社会で有利なこと、
とくにないぜ?
オレなんか卒業して17,8年経つけどよ、
大学名で得したことなんか一度もなかったぞ。
演劇界なんかな、こうみえて実はれっきとした学閥があんだよ。
芸術の世界つっても、一般の縦社会と変わらないんだぞ。
オレの場合、一切、大学の恩恵、受けてないからな。
どーせそういう大学なんだから腹くくって「英知」のまんま
でいいじゃんよ。

「聖トマス大学」か・・・・。
決定会議で、「そりゃ、ツッコまれるっしょ〜」って
冷静に言える教授とか職員、おらんかったんか・・・・。
「いいね!聖トマス!!!いただき!!」って、全会一致か!?
タガが外れましたな・・・。完璧に。

さようなら・・・。わが母校・・・・。
お元気で・・・。

セーント、トオマアース!!!!!!!!!

05/04/2007    蟄居考−1
引きこもりは身体に悪い。

5月10日までに『踊るシジフォス!1615』の一稿を
上げると約束してしまった。
深く後悔している。

世間は連休である。しかし休みだからって楽しく外で遊べるのは
普段からまともに働いている人たちに与えられた特権である。

とある小説の舞台化企画があって、
とりあえず早急に読むよう促され、ダッシュ2日で読んだ
(小説なんか何年ぶりに読んだか)。
で、一気読みしたはものの、はて一体これをどうすりゃいいんかと
考えたらバッタリと思考が停止する。
あっちこっちと外を走り回って、身体を動かしてたら脳も活性
されて、いいアイデアが出てくるだろうと思うが、
引きこもってるうちは難しい。やっぱり引きこもりは
よくない、が結論。

しかし、職種の内容が「引きこもり」を前提にしてるんだから
どうしようもない。これを否定してたら飯食えないもんな。

5日ほど前、とある大型電化製品店の玩具売り場で
ブラブラしてて、ふと、むしょうにプラモデルが欲しくなった。
昔は結構、なんだかんだと作ってた。それこそ戦車とか
ガンプラとか。
家の中でボソボソチマチマとプラモデル作ってたら、
なんか新しい世界がパッと広がるんじゃないかと一瞬、思ったが、
けど作ったらそこまでだもんなと思うといきなり道が閉ざされ、
結局、なにも買わずに帰ってきた。

オタクの人に、果てしなく羨望を覚える。
個人の世界に最大限のパワーを向けられる才能が欲しい。

テレビをつけたら、あ、『暖流』やってる。けどワシ、
今、どのあたりなんか全然わかってないわ。今日まで
まるっきりチェックしてなかったし。
あ。院長先生、血、吐いちゃった。
もうそのへんに来てるんか。
けど、一応最終回までの台本はもらってるし、毎週、
収録済みのDVDを送ってきてくれるので、何週か先までの
回を見ようと思えば見れるのだ。
けど、ちっとも見てない。
なんにも知らずにテレビの放送だけ見てたら
ちゃんと「ハマレた」かも知れんのに。

なんかハマれること、今のうちに見つけとかないと、
先々困るなあ。

気持ちが縮こまってるにも関わらず、よせばいいのに
NHK「映像の世紀」全7集のビデオを徹夜で一気に
見てしまった。で、「歴史は儚いなあ・・・」とかあらためて
思い知り、また気分が落ちた。
いかん。言うとる場合か。

連休明けたらすぐ『踊るシジフォス!』のオーディション。
(オーディション、みなさんで遊びに来て下さい。)
で、そこからは速攻で顔合わせ、台本できてたらリハーサル。
新歌舞伎座も中旬に顔合わせして稽古入り。
6月『負けてもイギョラ!』も末から稽古。
でも、ちっとも満たされない。もっと動きたい。

他のいろんなお話をビシビシ進めていくのは、
休みが明けてバタバタ動き出してからにしてください。
僕はとにかく、がんじがらめになりたい、のです。